薬師館の始まり 仙石忠政と菱野温泉

元和三年(1617)

初代小諸領主・仙谷秀久の息子、2代目小諸領主・仙石忠政公の愛娘が病に襲われ、医薬が効かなく苦悩の日々を送っていた。

 ある日、この霊泉に目が向けられ、薬師に祈願を凝らして入浴すると、不思議にも日ならずして平癒した。

仙石家では大いに喜び、湯主・荻原家に対して「効験多いこの霊泉を、世に知らせざるは惜しきことなり」と、青銅五十貫文を賜り、薬師堂ならびに湯小屋を建てるよう言い渡した。 

湯主は、入湯者一人につき三文の入湯料を取り、うち一文を湯運上として上納することが定められた。

即ち、これが菱野温泉(薬師館)の営業開始の第一歩である。

参考出典:小諸市教育委員会発行 小諸市誌近現代篇より